東洋的な病症
むち打ちとは?
どんな外傷か
主に自動車事故のほか、飛び込み事故や偶発事故による衝撃で頸部にもたらされるエネルギーが頸椎けいついの靭帯じんたい、椎間板ついかんばん、関節包かんせつほうおよび頸部の筋肉、筋膜を損傷して起こります。
以前は、追突事故などで頸部がむちのように前後にしなるために損傷されるとして、むちうち損傷と呼ばれた時期もありまし たが、診断名としての“むちうち”は加害的な病名であり、患者さんに過大な不安を与える点では不適切なものといえます。したがって、現在ではむちうち損傷 という病名は使われず、外傷性頸部症候群、もしくは頸部(頸椎)捻挫ねんざ、頸部(頸椎)挫傷ざしょうと呼ぶほうが一般的です。
また、以前は四肢の知覚、運動障害を生じる脊髄症型せきずいしょうがたを外傷性頸部症候群に含めていましたが、現在ではこれを頸髄損傷として外傷性頸部症候群からは外しています。
症状の現れ方
頭痛、頸部痛、頸椎の運動障害が3大症状です。とくに、頸部痛は約88%に現れるともいわれます。
後頭部、頸部から背部の痛みやこり、上腕から手指の痛みやしびれ、脱力などの頸肩腕けいけんわん症状や、めまい、眼のかすみ、耳鳴り、耳閉感、動悸、声のかすれ、吐き気、顔面の紅潮、全身の倦怠感けんたいかん、集中困難などのいわゆるバレルー症状があります。また、時に腰痛を訴えることもあります。
一般的には事故直後から症状が出ることが多いといえますが、約5分の1は事故後12時間あるいはそれ以降に頸部痛が現れたという報告もあります。
(1)問診
事故の状況を詳しくお聞きします。
事故の状況として、自動車、バイク、自転車に 乗っていたか、あるいは歩行者であったか。自動車に乗っていたとすれば、その車種はバンかバスか。乗用車に乗っていたとすれば、車両に加わった衝撃の方 向、車両は横転したか、事故後、車両は走行可能であったか、事故時の乗車位置、シートベルトを着用していたか、座席にヘッドレストがついていたか、などを 尋ねます。これは受傷した際の状況と外力を客観的に推定する点で有用です。